試合前のカフェイン摂取のタイミングはいつ・量はどのくらい?

「試合でできるだけパフォーマンスを発揮したい」
「カフェインっていつどのくらい摂ればいいの?」
「どうせカフェイン摂るなら一番いい摂取の仕方を知りたい」

試合前にカフェインを摂取して、パフォーマンスを高めたいですよね。でもこのカフェイン、摂取量を間違えるとカフェインによる副作用があなたのパフォーマンスに悪影響になってしまいます。

「できるだけカフェインの効果を引き出したい。」
そんな方もいるのではないでしょうか。

ということで今回は、「試合前にカフェインを摂取するべきタイミングと用量」について紹介します。

本記事を読めば

  • 試合前カフェイン摂取における「いつ・どのくらい」が分かる
  • スポーツ選手がカフェインを摂取するリスク・副作用について分かる

試合前カフェインの摂取のタイミングはいつ・量はどのくらいがいい?

以下の通り。

  • タイミング:試合(本番開始)の1時間前
  • 用量:体重1kgあたり3〜6mg

【タイミング】試合(運動)の1時間前

試合の1時間前がベストな理由として、カフェインのピークが関係します。

カフェインは30分から1時間でピークに達する

個人の体質や摂取量にもよりますが、カフェインは一般的に30分から1時間でピークに達します。しかし、試合の30分前は多くの人がアップ中です。

激しく動いている最中に、カフェインを摂取するのは少し苦しいですよね。

1時間前が効果を発揮しやすいというデータも

実際にこんな研究があります。カフェインのタイミングが下半身の筋肉のパフォーマンスを向上させるのか検証をした研究があります。1)

この研究では以下を結論づけました。

運動前のカフェインのタイミングは、運動開始1時間前にすることで、とくに2時間前に摂取した場合に比べて、より大きなエルゴジェニック効果を発揮する。

エルゴジェニックというのは、簡単にいうと人間の身体的、認知的パフォーマンスを向上させる効果を持つ物質や方法のこと。ここでいう物質はカフェインです。

【用量】体重1kgあたり3〜6mg

カフェインを摂取しすぎると、副作用のリスクも同時に高まります。

なぜ3〜6mgなのか

これこれこういう理由があって、体重1kgあたり3〜6mgという明確な理由はありません。しかし、多くの研究で3〜6mgという数字が示されています。

複数の研究をレビューした結果分かったこと

国際スポーツ栄養学会(ISSN)はそれらの入手可能な文献を批判的に評価し、見解を以下のようにまとめました。2)

国際スポーツ栄養学会(ISSN)の用量に関する見解

3.カフェインは3〜6mg/kgの用量で摂取すると、スポーツパフォーマンスを改善することが一貫して示されている。カフェインの最小有効量は不明だが、2mg/kgと低値のこともある。その反対に非常に高用量のカフェイン(例えば9mg/kg)は、副作用の発生率が高く、エルゴジェニック効果を引き出すために必要とは思われない。

【副作用の危険性】大量に摂取すると、パフォーマンスは低下

前述した通り、高用量のカフェインの摂取は副作用の発生率が高いです。
つまり、必要以上に摂取するとかえって危険だということ。

神経系への影響が大きい

カフェインは、脳のアデノシン受容体と結合することで交感神経を活性化し、アドレナリンの分泌を促進します。しかし、過剰に摂取すると以下の症状が現れます。

  • めまい
  • 吐き気
  • 不安
  • 震え
  • 心拍数の過度な増加

体重1kgあたり6mg以下に抑える

多くの研究で、エルゴジェニック効果を発揮するのは、体重1kgあたり、3〜6mg以下だと示されています。変に増やしたりすると、副作用のリスク増大で危険です。

カフェインをいつも摂取している人は注意。量を間違えると試合前のカフェイン摂取が効かないかもしれない。

日常的にカフェインを摂取している人は注意が必要です。

なぜなら、体がカフェインに慣れてしまい、カフェインによるパフォーマンス向上の効果が得られなくなる可能性があるからです。

カフェインに慣れると、効果を得られない

カフェインを日常的に摂取することで、アデノシンという物質も同じようにつくられます。簡単にいうと、これがカフェインが効かなくなる原因です。

  • アデノシン→疲労に伴って産生され、脳のアデノシン受容体に結合して、覚醒作用のあるヒスタミン(眠気を覚ましたりする)という物質の放出を妨害
  • カフェイン→アデノシンの活動を抑制して、疲労感を抑える。

カフェインとアデノシンの関係はこんな感じです。
カフェイン摂取を続けると、アデノシンの量も増えて、効果を得られなくなります。

習慣化が効果を鈍らせるという研究もある

アスリートの習慣的なカフェイン摂取について調べた研究3)があります。
この研究には以下のことが記されていました。

アスリートによるカフェインの習慣化は、予想されるエルゴジェニック効果を鈍らせる可能性がある

やはりカフェインをいつも摂取している人はエルゴジェニック(パフォーマンス)効果を鈍らせる可能性があるようです。

解決策もある

「とはいえ、毎日のコーヒーはやめられない」
「エナジードリンクが美味いからなあ、、、」

と思っている方も安心してください。ちゃんと解決策があります。

日常的に摂取している人の試合前のカフェイン摂取方法

日常的に摂取している人は以下のことに注意すれば全く問題ありません。

  • ①:試合前のカフェイン摂取はいつもより多めにとること
  • ②:必ず体重1kgあたりカフェイン6mg以下に抑えること
  • ③:普段からカフェインを摂取しすぎないこと

理由としては、必要以上に摂取するとかえって副作用のリスクが増えてしまうし、かといって普段と同じぐらいのカフェイン量でも効果が発揮されづらいから。

普段のカフェイン摂取量 < 試合前のカフェイン摂取量  ≦ 体重1kgあたり6mg
になれば大丈夫ということです。

1kgあたり6mgってどのくらい(僕の体重で計算してみる)

カフェイン量6mg × 僕の体重体重で計算すると 
6(mg) × 65 = 390(mg)
390mgって結構多いですよね💦

普段のカフェイン摂取量は?

普段からコーヒーを飲んだり、エナジードリンク摂取する人もいると思います。
それぞれ大体以下の分量でカフェインが含まれています。

  • コーヒー1杯(150ml):約90mg
    → 普段は多くても3杯までにして試合前はそれ以上摂取
  • レッドブル1缶(250ml):約80mg 
    → 普段は多くても3杯までにして試合前はそれ以上摂取
  • 緑茶1杯(煎茶)(150ml):20mg〜30mg
    →そんなに飲みすぎることもないと思うが、試合前はそれ以上摂取

こんな感じで、試合前のカフェイン摂取が日頃から摂取しているカフェイン摂取量を上回れば問題ないです。

まとめ

全部まとめると、以下の通り。

試合前カフェイン摂取はいつ?どのくらい?

  • タイミング:試合(本番開始)の1時間前
  • 用量:体重1kgあたり3〜6mg

日常的にカフェインを摂取している人は、カフェインによるパフォーマンス向上の効果が得られなくなる可能性があります。そのため、以下の点に注意。

日頃からカフェインを摂取している人は以下の点に注意

  • ①:試合前のカフェイン摂取はいつもより多めにとること
  • ②:必ず体重1kgあたりカフェイン6mg以下に抑えること
  • ③:普段からカフェインを摂取しすぎないこと
普段のカフェイン摂取量 < 試合前のカフェイン摂取量  ≦ 体重1kgあたり6mg

いかがだったでしょうか。

試合では、いつも通り、あるいはそれ以上にパフォーマンスを向上させたいですよね。
今回紹介したカフェインの摂取方法を参考にしてみてください。

読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

1) Harty PS, Zabriskie HA, Stecker RA, Currier BS, Tinsley GM, Surowiec K, Jagim AR, Richmond SR and Kerksick CM (2020) Caffeine Timing Improves Lower-Body Muscular Performance: A Randomized Trial. Front. Nutr. 7:585900. doi: 10.3389/fnut.2020.585900

2) Guest, N.S., VanDusseldorp, T.A., Nelson, M.T. et al. International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance. J Int Soc Sports Nutr 18, 1 (2021). https://doi.org/10.1186/s12970-020-00383-4

3) Pickering C, Kiely J. What Should We Do About Habitual Caffeine Use in Athletes? Sports Med. (2019) Jun;49(6):833-842. doi: 10.1007/s40279-018-0980-7. PMID: 30173351; PMCID: PMC6548063.