サッカーをやっている方は、「走り込み」を経験したことがあると思います。
「きつくて苦しいこの走り込みには本当に意味があるのか?」と感じる人も多いと思います。
本記事の内容
- 長い距離の走り込みには意味があるのか
- サッカーで90分走れるようになるにはどうすればいいのか
- チームで行われる無駄な走り込みとどのように付き合っていくべきか
今回はサッカーにおける走り込みの目的についてご紹介したいと思います。
サッカーにおける走り込みの目的を知ることができれば
- 90分間走り切ることができるようになる
- サッカー選手としての価値を高めることにつながる
それではいきましょう!
目次
サッカーにおける走り込みには意味があるのか
ここでいうサッカーの走り込みとは、陸上的な長い距離の走り込み、中距離で行う高強度の走り込み、罰走としての走り込みなどのこと。
正直に言います。このような走り込みは無駄です。
理由は、サッカーのフィジカル的特性に見合っていないからです。
近年は高校年代などで走り込みが多いという印象。
なくなってきてはいますが、強豪高校と呼ばれるチームでは、いまだにこのような走り込みを行っているチームは多いです。
そのようなチームが全国大会で優勝を収めたりしているため、「走り込みは絶対に必要だ!」という概念が根付いてしまっています。
高校生は育成年代。
育成年代でこのような走り込みがなくならないことの背景には、指導者や選手の勝利至上主義的な考えが浸透していることが関係しています。
本来育成年代は、言葉の通り育成が目的です。
全国高校サッカー選手権大会が多くの選手のゴールになってしまっているように思います。
サッカーのフィジカル的特性とは
走り込みがサッカーのフィジカル的特性とはかけ離れていると前の分では述べました。
そもそも、サッカーのフィジカル的特性とはどのようなものなのでしょうか?
それを知るには、サッカーがどのようなスポーツかというのを明確にする必要があります。
サッカーはどのようなスポーツか
- サッカーの試合は90分であり、実際にプレーしている時間(アクチュアリータイム)は約60分程度
- そのうち約70%はウォーキングとジョギングなどの有酸素運動、残りの30%はスプリントや連続した動き
- さらに、そのスプリントの30%のうちの9割が30m以下、さらにその5割は10m以内
サッカーの試合時間は90分ですが、実際にプレーしている時間はそんなに多くないんです。
これを踏まえた上でサッカーのフィジカル的特性について説明します。
サッカーのフィジカル的特性
常に動くスピードが変化し、いつ、どこに、どのくらいのスピードで走るのかの判断が伴うスポーツ
つまり、状況によって自分で判断しながら走るということです。
無駄な走り込みを続けていればどうなるか
陸上的な長い距離の走り込み、中距離で行う高強度の走り込み、罰走としての走り込みなどの無駄な走り込みを続けていると以下のリスクが伴います。
- コンディション低下
- ボールを使ったトレーニングでの集中力の低下
- 怪我、精神的苦痛
無駄な走り込みを経験したことがある方はこのうちのどれかに当てはまったことがあるのではないでしょうか?
また、多くの場合、走り込みのあとにボールを使ったトレーニングを行います。
そのため、練習の強度調整が行えず、量重視の練習に。
量重視の練習になってしまうと選手の負担が大きくなり、パフォーマンスは低下していきます。
筑波大学蹴球部、小井戸監督は、
「アクチュアリータイムは約60分であるから練習の中で70分間本気でトレーニングをすればそれ以上は必要ない」とおっしゃっていました。
あくまで一例ではありますが、このような強度に対して明確な意図が示されている練習を行えば、量重視の練習になることはありません。
サッカーで90分間走れるようになるには
では、サッカーの試合で90分間走れるようになるにはどうすればいいのでしょうか?
以下の方法をご紹介します。
- 有酸素能力のベースを高める
- 動きの効率をあげる
- 最大酸素摂取量のアップ
- 筋力を高める(ウエイトトレーニング)
有酸素能力のベースを高める
サッカーの一番の土台は試合の約70%にあたる、有酸素運動です。
有酸素能力のベースを高めることは試合で90分走り切る上で重要です。
足が張らない程度のレベルのゆっくりとしたランニングを行うことで、有酸素能力のベースを高めることができます。
動きの効率を高める
無駄な動きがあれば、動作に余分な体力を奪われてしまいます。
よくみられるのは、ダッシュや切り返しの際に力みが生じてしまっている状態。
これではそもそも早い動作を行うことは不可能ですし、力みが生じているため、試合での体力の消耗も大きいです。
サッカーをする上での動作の効率を高めることで、無駄にエネルギーを消費することなく、90分走り切ることが可能です。
最大酸素摂取量の増加
サッカーはスプリントの繰り返しであり、間欠的持久力が求められます。
間欠的持久力とはサッカーのようにダッシュするときもあれば、歩く時もあるといった運動を繰り返すこと
間欠的持久力を高めるには、インターバル走やHIITトレーニングを行うことが効果的です。
インターバル走やHIITトレーニングは最大酸素摂取量を増加させることができます。
最大酸素摂取量とは一定時間でどれだけ多くの酸素を体内に取り込めるのかという指標のこと。
酸素をより多く体内に取り込むことができれば、間欠的持久力を高めることができ、90分を通してパフォーマンスを持続させることができます。
筋力を高める
試合中にはフィジカルコンタクトによって体力が削られます。
筋力が不足していれば、フィジカルコンタクトによって体力が削られ、試合終盤まで体力がもたないという場合も考えられます。
ウエイトトレーニングや体幹トレーニングなどを行うことで、相手に負けない体作りをすることが必要です。
また、ウエイトトレーニングや体幹トレーニングを行うことで、姿勢や動作を改善することもできます。
つまり、先ほど述べた動きの効率にも良い影響を及ぼします。
チームで行われる無駄な走り込みはさぼれ!
無駄な走り込みを行うチームに所属していて、確実にその走り込みからは逃れられない、、、
そんな場合どうすればいいのでしょうか?
残念ながら対処法は一つしかありません。それはさぼることです。
サッカーのフィジカル的特性を理解しているあなたは、その特性を理解せずに走り込みを選手に命じるスタッフよりも知識があるといっていいでしょう。
それは科学的に証明されているものであり、科学的理論を無視するようなトレーニングは意味がありません。
さぼってしまっては試合にでることができないのでは?
走り込みをさぼっていればもちろん試合に出してもらうことは難しいと思います。
しかし、考えてみてください。
走り込みによってひとりのサッカー選手としての価値を高める時間を失うのと、試合に出ることができないのとでは、どちらの方があなたにとってリスクが伴うのでしょうか?
もし、この先プロを目指してサッカー選手としての価値を高めたいのであれば、無駄な走り込みはさぼるべきなのです。
走り込みをさぼってもサッカーはうまくなる
私自身も高校時代、無駄な走り込みを行うチームに所属していました。
私が経験した無駄な走り込み
- 4日間で100km走る
- 長い距離(山道)をほぼ毎日走る
- 試合に負けたらゴール裏10本
私自身何が正しいのか分からず高校1年生のうちは走り込みを全力で取り組みました。
しかし、1年生が終わる頃、サッカーが上手くなっている気がしませんでした。
走り込みを終えて、その後ボールトレーニングをする頃には体は限界。
多少試合で走ることができるようにはなりましたが、90分間走りきれるようにはなりませんでした。
また、走り込みが多いため私自身非常に怪我に悩まされました。
そこで、高校2年生から自分に必要な走りと無駄な走りを切り分けて考えました。
ボールを使ったトレーニングを中心に頑張ることを決めたのです。
走り込みをさぼり始めたため、高校2年生の時は、ずっとBチームでプレーをしていました。
しかし、3年になる頃にはトップチームのスタメン。
なぜなら、自分の中で割り切ってボールトレーニングを中心に頑張ることを決め、技術を向上させることができたからです。
走り込みをさぼっているのになぜか監督からの評価は高かったです。
このケースはおそらく非常に珍しいですが、もし試合にでることができなくても私は誰よりもうまくなっているという自信がありました。
科学的根拠をもとに自分でトレーニングの強弱を考えて調節することで体への負担を減らし、技術を高めることに焦点を当てました。
ここでいいたいことは、監督やコーチに言われたことや、課せられたトレーニングの意味を改めて考えるべきだということです。
その上で、自分で正しい判断を下してトレーニングを行うことが必要です。
まとめ:やっぱりサッカーにおける走り込みは無駄
いかがだったでしょうか?正直今回の内容は賛否両論あります。
あくまで、科学的根拠のもとでは、罰走などの走り込みは無駄ということを理解していただけたらとおもいます。
今回のポイント
- サッカーでは実際に60分しかプレーしない
- 単純な走り込みでは90分走れるようにはならない
- 90分間走るためには様々なアプローチが必要
- チームで行われる走り込みはさぼるべき
- 常に練習や走りの意図を考える(思考停止にならない)
私自身高校の時苦しい思いをしたため、この記事が多くの選手に届くことを願います。
与えられた練習や言葉をすぐに鵜呑みにするのではなく、まず自分で考えるということをしてみてください。
そうすれば、自分が今何をするべきなのか明確になってくると思います。